家づくりについて
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住宅の計画をする際、施主様に毎回のようにお聞きしていることがあります。
「暮らしの中で、嫌だと感じていることを教えてください。」
少し意外な質問かもしれませんが、私自身、家づくりを考える上でとても大切にしていることです。
新築でも、リフォームやリノベーションでも、多くの人にとって「家をつくる」というのは人生で何度も経験することではありません。
だからこそ、新しい暮らしを想像しながら、「こんな家に住みたい」という理想や憧れを思い描く時間は、とても楽しいものだと思います。
打合せでは、
- 高い天井にしたい。
- 吹き抜けに大きな窓をつけたい。
- 広いリビングが欲しい。
- 庭にウッドデッキや芝生をつくりたい。
そんなお話をたくさん伺います。
もちろん、その理想を形にしていくことも設計の大切な役割です。
ただ一方で、家づくりには少し難しい部分もあると感じています。
それは、「今の理想」だけを基準に考えてしまうことです。
暮らし方や価値観は、10年、20年と時間が経つ中で少しずつ変わっていきます。
家族構成も、働き方も、趣味も、年齢による感覚も変化していきます。
吹き抜けの大きな窓は、将来どう掃除をするだろう。
広いリビングは、どんな家具を置き、どう過ごす場所になるだろう。
ウッドデッキは、実際にはどのくらい使うだろう。
そんなことを一緒に考えるようにしています。
もちろん、理想や憧れを否定したいわけではありません。
ただ、「変化していく暮らし」も含めて考えることが、長く心地よく住める家につながるのではないかと思っています。
だからこそ、打合せでは「嫌なこと」をお聞きします。
- 洗濯物が雨の日に干しづらい。
- 収納が足りず片付かない。
- 掃除しづらい場所がある。
- 夏や冬の温度差がつらい。
こうした日々の小さなストレスは、不思議とすぐに出てきます。
家づくりは、特別な空間をつくることでもありますが、
毎日の暮らしを、無理なく、自然に続けられるように整えることでもあると思っています。
ただ、その一方で、効率や機能だけでは測れない豊かさも大切にしたいと考えています。
例えば、無垢の木や塗り壁のような自然素材は、既製品と比べると手間がかかったり、傷や経年変化が出たりすることもあります。
決して“効率的”とは言えない部分もあるかもしれません。
それでも、光の柔らかさや、肌触り、時間とともに変化していく風合いには、人の気持ちを落ち着かせたり、暮らしを豊かにしてくれる力があると思っています。
便利さだけを追い求めるのではなく、
かといって雰囲気だけに偏るのでもなく、
日々のストレスを減らしながら、
自然と心地よく過ごせること。
そんなバランスを大切にしながら、住まいを考えていきたいと思っています。